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楽器の選び方(製品仕様・年式など):ピアノ

先ほどのページで良い楽器とは、音の良さ・楽器の操作性・品質の安定度(耐久性)

の3点が優れた楽器の事であることはお分かりいただけたと思います。

またその一番の重要な要素は、メーカーの今までの製造経験(試行錯誤)に裏打ちされた

楽器作り(音作り)のコンセプトがしっかりしているか

という点であることも十分お分かりいただけたと思います。

そこで、音・操作性・耐久性に大きな影響を与えます様々な要素の中で、

まず本題のメーカー・機種比較に入る前に、ピアノの製品仕様・年式などの

基本的な知識をまずご理解いただこうと思います。

(1)アップライト・グランドの違い

ピアノには、アップライト(縦型)とグランドの2種類が、

日本国内では主に流通しております。

この両者の違いは、デザインももちろんございますが、

音の伸び・操作性の違いに顕著に現れます。

まず、音の伸びという点では、弦長(次の項目で説明します。)が長い分、

グランドピアノではよりスムーズで無理のない音の伸びがあります。

次に、操作性という面では、ピアノの弦をたたくハンマーの部分が、

上下に作動するグランドピアノでは、弱打でも鍵盤の戻りが早く、

素早いトリルなどを行う場合にアップライトピアノと性能の差が顕著になります。

その他、ペタルの使い方(効果)も大きく異なります。

(2)弦長の長さ

ピアノの場合、張ってある弦の長さが長い分、より張力が大きく出来るので、

特に低音の伸びが良好になって来ます。

アップライトピアノでは背の高さ、グランドピアノでは奥行きの長さが、

この弦長の長さに比例する部分になりますので、ご確認下さい。

また、高音についても、弦の余った部分を共鳴させることによって、

(アリコート方式と一般的に呼ばれております。)

より倍音の豊かな響きを作り出すことが出来ます。

(3)年式(中古ピアノの良い点・悪い点)

ピアノの場合、十分な調律・調整を行えば最低50年はご使用可能ものなので、

最近では、中古ピアノ(リニューアルピアノと呼んでいるお店もあります)を、

ご検討する方も多いと思います。

さらに、一度きちんとした整備がなされた中古ピアノは、

それから最低50年は特に大きなメンテナンスが必要なくお使いいただけます。

また、中古ピアノは販売する楽器店によっても、自社のメンテナンス技術を、

大きくアピール出来る場面ですし、また各種調整・調律にかなりの手間をかけても、

新品ピアノの販売価格の半額程度でのご提供が出来る事から、

ピアノの修復技術をもっていらっしゃる楽器店で、

お取り扱いのないお店はまずないのではないかと思います。

従いまして、中古ピアノはお客様・販売店双方にとって、

非常にメリットの大きいものである事は明らかであると思います。

ただきちんとした整備が行われ、ご購入後も適切なメンテナンスが行われれば、

音の良さ・楽器の操作性・品質の安定性(耐久度)という面では、

新品ピアノに遜色ないおすすめの楽器ということが言えるのですが、

また、整備が不適切・不十分なピアノをご購入にされた場合には、

音の良さ・楽器の操作性も良くないですし、また長持ちもしません。

よって中古ピアノの選び方は、最終的には中古ピアノの整備状況に責任を持つ

楽器店のモラル・技術力の高さに大きく依存してしまいます。

(4)国産ピアノの流通事情(中古ピアノが崇拝される本当の理由)

特に一部のモラルのない楽器店では、新品ピアノよりも40〜50年以上前の中古ピアノが、

本当の価値は高いとおっしゃっているようですが、当店ではこの説には反対です。

というのは、例えば多くの有名輸入ピアノでは、昔から長期乾燥を施した木材を使用し、

出来るだけ音が響きやすく・品質の安定度の高い素材を吟味して使っているので、

50年〜100年前の中古ピアノにそれなりの趣きと味わいがございますが、

(こちらの場合も適切な整備・オーバーホールが出来ていることが前提ですが)

少なくとも国産ピアノに限定した場合、昭和30年台までのピアノについては、

ピアノの基本設計という面での理論が十分確立されていなかった事もありますし、

しかも必ずしも高い組み立て技術で製造されていた訳ではなかったからです。

(この点は、長年楽器店を営業しているお店でないと分からないと思います。)

ただヤマハピアノでは、以前よりも出荷段階での調整の精度がかなり悪くなっているので、

今まで工場段階ですっかり整備されていたものが、調律師の仕事になっているので、

そのままの未整備の状態で比較すれば、どんな無名メーカーのピアノよりも、

悪い音がしますので、余計その説が現実味を帯びてくる訳です。

従いまして、ヤマハの低価格モデルに限定してみますと現在では、

調律・調整が行われた新品ピアノ>>出荷時の新品ピアノですが、

昔は調律・調整が行われた新品ピアノ≒出荷時の新品のピアノでしたし、

さらに中古ピアノの調律・調整の作り込み具合によっては、

現在の出荷時の新品ピアノ<<調律・調整済みの中古ピアノになるのが普通ですので、

誰が聞いても違和感のあるヤマハの新品ピアノが数多く存在する訳です。

その証拠に輸出向けの場合、環境変化に対応するため整備を慎重に行っているので、

海外(主に欧米)では、現在でも国産メーカーの評価は

ピアノ製作・組み立て技術自体が低下していることはないようです。

ただし、現行新品(アップライトおよびC3Lまでのグランド)に使用されている木の材質や、

組み立て時の木目の見方についてはかなり問題があるので、

状態の良い中古ピアノにさらに精度の高い調律・調整で作り込みを施した場合には、

状況によっては、調律・調整が行われた新品ピアノ<調律・調整済みの中古ピアノになる事もあるのが、

ピアノメンテナンスの面白いところでもあります。

 

それではなぜ中古ピアノを崇拝するようなお店が多いのかといいますと、

現在のピアノの流通事情が大きく関係しております。

現在、国内の新品ピアノ販売シェアーの90%以上がヤマハ・カワイで、

さらに、ヤマハ・カワイの新品ピアノは非常に流通が限られているので、

双方のピアノをいつでも全てのお客様にいつでもご提供出来る

販売店が非常に少ない事が原因になっています。

特に地方では当店の様に、双方の新品ピアノを安定してご提供出来るお店は、

ほとんどないと言っても過言ではないかと思います。

従いまして、実際のところ全国の楽器店の多くはヤマハ・カワイといった、

国産2大メーカーの本当の新品のピアノを評価する術を持っておらず

またメーカー自体もそのブランド力で販売を推進してきた面が強いので、

他メーカーのピアノと商品自体の比較をされる事をおそれているのです。

従いまして、中古ピアノ販売中心のお店では、国産の新品ピアノの評価は、

最近のピアノは品質がかなり落ちたというような厳しい評価になりますし、

極端な例では、比較対象商品としてあえて調整を悪くした新品ピアノが、

中古ピアノとともに並べられるといったことになる訳です。

また新品ピアノ販売の場面でも、そのお店の主力ではない商品については、

かなり偏った悪い評価が下されるといった傾向があります。

(5)総括

以上、製品仕様・年式・国産ピアノの流通事情などの部分での比較では、

アップライトピアノよりもグランドピアノ、さらに弦長の長いピアノが、

一般的には優れたピアノということがお分かりいただけたと思います。

また、きちんと整備された中古ピアノが新品ピアノに匹敵・場合によっては凌駕するものである点、

ピアノ業界全体が必ずしもお客様重視ではないという残念な側面も、

心に留めておくと、他の方のご意見を聞く際には参考になると思います。

それでは本題の各メーカー・機種ごとの比較を始めようと思います。

以下各メーカー・機種比較のページに続きます。

グランドピアノ

 輸入ピアノ(スタインウェイ・ベーゼンドルファー・ベヒシュタイン等)

 国産ピアノ(ヤマハ・カワイ・ボストン・ディアパソン等)

アプライトピアノ

 輸入ピアノ(スタインウェイ・ベーゼンドルファー・ベヒシュタイン等)

 国産ピアノ(ヤマハ・カワイ・ボストン・ディアパソン等)



 

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